「シェーナウの想い」
中世からの建物が立ち並ぶ、山間の美しい町シェーナウ。
そこに住む人々が1986年のチェルノブイリ事故により「核の恐怖」を知り、小さなテントでの「情報センター」から始まる「原子力のない未来を目指す親の会」を立ち上げました。
ただ手を合わせ祈るだけではなく、決してこぶしを握らず、目的を同じとする人々が手と手を組んで行動に移していきます。
小さな一歩から始まった脱原発への長い道のり。
シェーナウが自然エネルギーにシフトできたのは、自然や古き良きものを愛する大勢が住む街だったからではありませんでした。
人口2500人の街での1回目の市民投票は、約700が賛成(親の会側)、約600が反対。人口2500人、未成年が25パーセントと仮定しても、残りの600-700人は無関心層もしくは選択できなかった人たち。
2回目の投票も(1か所の投票所の様子しか窺い知れないが)「6票足りない!」との親の会メンバーからの悲痛な叫び、希望を信じて数え直し作業するひたむきな姿、そして・・・逆転の勝利に沸く人々。

今では多くの人々が、反対派で意見を述べていた人々までもがEWS(シェーナウ電気会社)や自然エネルギーへの賛同を表明しています。
陽だまりの中でのDM発送作業をするボランティアのおばあさんまでもが「些細なことは気にしない。目的が一緒の仲間がいるから大丈夫。DM作業も楽しい。喜びに満ちて手伝っているの。」と、やさしい笑顔で語りかけてきます。

シェーナウの人々と、今の私たちとどれほどの違いがあるのでしょうか?
今まさに目が覚めた思いです。現状、私たちは少数派かもしれません。
けれども私が一人仲間を増やす、その一人がまた理解者を一人増やす、それだけでよかったのです。


映画鑑賞後の交流会

約20人が4つに分かれてのグループディスカッション
テーマ「私たちに今できること」

今回初参加の方も多く、また地元の方が多かったことも印象的でした。これは大きな喜びです。
そしてひなママネット参加者が8名も増えました。
4つのグループからは「節電」「アンペア変更」や「声を上げる」「節電を家族で話し合った」「企業への働きかけ」、そして「フクシマ」(フクシマは福島ではなく放射能問題全般の意)、「福島の子供たち」のこと、「瓦礫焼却問題」と、多くの『想い』が伝えられました。
日本ではシェーナウ以上の多くの問題が「先に気付きを迎えた」私たちにも、まだ「目覚めていない人」たちにも降りかかっています。
これを読んでいる誰もの心に去来することを、それを声に出すことで、会場の中でも実現するきっかけがいくつも生まれていました。
正解は一つではありません。短い時間のため、本当に残念ながら全てを共有することはできませんでした。
然しながらこの交流会で、各々が「自分で考え行動する」素晴らしい一歩を踏み出せたと、確信してやみません。


親の会のメンバーでEWS経営責任者のウルズラ・スラーデック女史の日本へのメッセージ
「母親たちよ、ライオンになれ」

3.11以降「自分の子供を守りたい」「国の政策への疑問」ただそれだけから始まった放射能問題への取り組みや移住。
そこから「友達の子も助けたい」になり「被災地の子を助けたい」に変わればよい。へこたれる日もありますが、今日の私自身はそう思える力が湧いています。
私たち一人一人は弱い人間、表面はやさしい顔の「母親」「友達」「避難者」を演じ、そして内面を「ライオン」ハートにして子どもたちを守り抜かなければならないと、熊本の空に山々に雌叫び(雄叫び)をあげ誓うのでした。


ひなママネットのみなさんへ
今回、多くの初めて参加された避難者の方や地元の方がいらした半面、ひなママが少なかったかなと思います。陽気のためお子さんやご自身が具合の悪かった方も多かったようですが、もし「映画は見た」とか、「小さい子供が騒ぐのが心配」で来られない方がいらしたら 交流会だけでも参加していただけないでしょうか?(交流会のみの参加料金設定あります)
もし公園や駅のホームで知らない人に放射能問題を話しかけることができなくても、ここでなら話せないでしょうか?
近所の自然食品のお店(熊本市外)においてもらったチラシを手に参加した方がいます。(なんと子どものクラスの転校生のママでした!)チラシ配りの行為が成果になったと知り、とてもうれしくなりました。
新しく来た避難者も、また地元熊本の方々も 話をしたくて来ています。
つながりたくて来ています。赤ちゃん抱いたままでも『私たちに今できること』があります。
そしてスタッフもいつでも参加してください。その場で手伝っていただく、買い物ついでにチラシを置いてもらうだけでもいいのです。出来ることだけでいいのです。それが自分の子を守ることへとつながります。

私も今回、司会に挑戦してみました。「忘れっぽい」「しゃべりすぎ」で「考えが浅い」私でも、事務局の方や参加者の方にも助けられ(ご迷惑おかけしました。)、どうにか無事終了することができました。
ぜひ次回、また新しい『私にもできる参加の形』が一つでも増えることを祈ります。
目的が同じ仲間が助け合い 自分にできることを少しずつ増やしながら、信じる未来への道を歩んでいきましょう。
シェーナウの人々のように!

Kaiko