いちこじです。

今回は以前の署名提出に続いて、
二度目の市役所・県庁訪問となりました。

前回は、避難して来た母親と幼い子供と
「熊本原発止めたい女達の会」の方々の応援、

「立ちあがった母親達」……そういう感じでした。


でも今回は、なんだかもう全然違っていました。
集合時間、市役所のロビーに集まっていたのは、

 地元の学生の女性、
 水俣病裁判でも活躍された弁護士の方、
 地元の独身男性、
 熊本大学で放射能を専門で研究されてた先生、
 山口で原発の問題に直に頑張っていた女性、
 東日本から移住してきた独身女性、ご夫婦、
 そして地元のお母さんと子供……

約40名の男女と、約10名の幼い子供達、
いろんな世代の男女が
様々な立場の人々が、
真剣なまなざしでそこに立っていました。

お互いが自己紹介したりしながら、
それぞれに緊張した面持ちで、
「その時」を待っていました。

急遽決まった「公開質問状の提出」ということで、
できるだけ多くの人々でとツイッターなどで呼びかけた結果の、
それは、本当に嬉しい光景でした。

   熊本を不当な汚染から守りたい

 きっとその共通の志が結びつけた絆で、
 疎開母子が立ち上げたこの会は、
 もうもっとずっと大きな輪になっていく。
 他にすでに頑張ってきていた人達、
 また今から頑張りたいと思ってた人達とこんなにも繋がれた。

私はロビーに着いた途端に一瞬涙が出そうになりました。

 そして、部屋に通され、代表が「公開質問状」を読み上げ、
その後は挙手で、それぞれが質問を、気持ちを、市役所の方々に
伝えて行きました。

 市役所の方々は誠実な対応をしてくださいましたが、
それでもどうしても、歯痒くてどうにもならなくなることもありました。

 21日が「市の方針」を国に伝える最終期限なのに、
 どうして私達への回答が同じ21日になってしまうのか?
 担当者の方々も決定に必要だと考えてらっしゃる
 安全性や輸送・処理のシステムがほぼ白紙なのに
 どうして検討の姿勢を見せないこと、
 つまりAでもBでもCでもない「空欄」を選べないのか……?

毅然とした態度を示していかないと、
今後も環境省からの通達が
どんなに理不尽なものになるか分からないのに。

私自身そこにいて、どう言葉を尽くしたらいいのか、途方に暮れた、
その時でした。

一人の女性が挙手をしました。
熊本で生まれ、育った、三人の子供を持つお母さんでした。
彼女は溢れる思いを、丁寧に気持ちを込めて、話して下さいました。

本当に本当に熊本を愛して生きてきた彼女が
熊本をどうしても守りたいと、全身全霊で訴えていました。

それは、6月から移住してきた自分の
「熊本っていいところだな。すばらしいな。好きだな。」
そういう気持ちとはなんかもう全然違って、もう圧倒的で、
だからこそ今の状況が、心から悔しくて哀しくて苦しんでいる姿。

 ……彼女の言葉を聞いていた4人の担当者の方々も、
 少しずつ表情が変わっていったようでした。
 


「署名提出」を終えた後、担当の方に声をかけ、
少しだけお話をさせていただきました。
その方は、
「…自分らも、作業に関わる仲間が被曝するかもしれないんです。」
言葉を選びながら、でもポツリと、呟くようにそう仰いました。

自分達がいかに巨大なものと闘っているか、
そう思い知らされた瞬間でした。


市役所での時間が終わると、大急ぎで帰っていく姿がありました。
車で数時間かけて、その30分のために駆けつけてくれた人達。
遠距離から集まってくれた方々も大勢いたのでした。

私は今まで、協力して下さる方々に感謝ばかりしていました。

でももうこの問題はみんなの問題で、
みんながベストを尽くして死に物狂いで頑張らなきゃいけないことで、

だからその気持ちを言葉にして伝えるよりも今は、
自分がもっと頑張ることで伝えなきゃいけないんだと。

考えてみれば当たり前のことに、今更ながら気がついたのでした。


県庁でも同じ形式で時間は進みました。
市役所の数倍、手応えのない返答が多かったように思いました。
時間がない中、メンバーが徹夜続きで作業をして
弁護士の方やいろんな方と連絡をとりつつ作成した質問状に対し、

その回答期限はあくまであやふやで、
「口頭」か「書面」かもあやふやで、

この人達がこんなにこんなに大事なことを決定するのかと、
脱力すらしかけた時でした。
挙手したのは熊本生まれ、熊本育ちの学生の女性。

彼女は、水俣病の話を例にして、
とにかく子供達に恥ずかしくない選択をして欲しいと、
泣きながらその強い想いを伝えていました。

その重みは、あまりに衝撃的でした。

……そうだ、熊本の人達は、
無責任な会社と
不誠実な国や県の対応で
本当に本当に苦しい想いをしてきた人達だったんだ。
その事件の後、数十年、
理不尽な痛みを心や体に受けてきた人達だったんだ。
今だって、苦しんでいる人達が実際に生活するんだ。

そういうこの熊本で今、この問題と闘ってるんだ。




市役所・県庁への公開質問状提出は、
なにより自分自身にとって、
ものすごく大きな大きなアクションでした。

挙手をして、なんとか必死に想いを伝えようと言葉を尽くす人達、
限られた時間のため発言できなくても
その毅然とした眼差しで、表情で、しっかりと「伝えて」いた人達。
頼もしかった。心強かった。

東電も政府もなんだかもう巨大過ぎて
どうにもくじけそうになるけど、

でも、

絶対に負けちゃいけないんだからやるしかないんだと。
自分自身が張り手を受けたような気持ちになりました。

短絡的な思考に逃げちゃいけない、
そこには辛抱強さや粘り強さや、
そしてなにより「ポジティブなエネルギー」が
必要不可欠だということ。

エレルギーはもう仲間がめちゃめちゃくれるということ。

           頑張ります。

それから。
あらためて、皆さん、もっと大勢の人にこのことを伝えて、
もっとみんなで考えましょう。動きましょう。

まだ終わってないから。
みんなで、伝え合って、繋がりあって、
一日一日、全力で動きましょう。


 署名提出の後にも思ったけど、
 やっぱり、ここからがスタートなんですもんね。

できれば今日、無理でも明日、
なんとか市や県から誠実な回答があるようにと
                    強く強く願いながら。